4月2日「愛知民報」
海部郡東部4町(美和町・大治町・甚目寺町・七宝町)の日本共産党議員団(団長=亀卦川参生美和町議)は大治町にある三菱マテリアル建材(株)名古屋工場のアスベスト(石綿)対策に取り組んでいます。亀卦川団長のレポートを紹介します。
従業員が石綿死
この地域でアスベスト問題に取り組む運動がはじまったきっかけは、昨年7月厚生労働省が発表した「アスベスト労災認定事業所リスト」の中に、大治町で操業している三菱マテリアル建材(株)名古屋工場があったことです。1973年から2002年までアスベストを使用した建材を製造し、従業員1人が肺腫瘍で死亡し、1人が療養中です。いずれもアスベストによる労災に認定されています。
同工場の敷地の境界での環境測定結果(90年~05年)によると、空気1リットル中に0・10~3・40本のアスベストがありました。
住民学習会開く
同議員団と地域の日本共産党支部でつくる「アスベスト住民学習会実行委員会」は3月5日、甚目寺町民会館でアスベスト住民学習会を開きました。
講演したアスベスト研究者の愛知教育大学保健管理センター・久永直見教授は、「アスベスト被害は、平均でも30年と長い潜伏期間を経て発病し、肺だけでなくリンパ液で全身に回る危険があります。しかし、アスベストを吸い込んだ人全員が発病するものではなく、肺ガンなら早期発見で根治でき、中皮腫でもかなり延命できるから、定期健康診断を受け、早期発見、早期治療が大切」とのべました。
久永教授は今後、古い建物の解体などで大量のアスベストを瞬間的に吸引する危険性や、低濃度のアスベストでも発症の危険があること、本人が気づかないままアスベストを吸引し健康被害が起きる可能性が増大するなどの危険性を指摘しました。
「電気工事に8年ぐらい携わっていたが、アスベストが吹き付けてあると思われる天井裏で工事をしたことがある。中皮腫などの発病は大丈夫か」などの質問に、久永教授は「危険はあります。定期検診を受けて下さい」と答えました。
運動の始まり
同議員団は昨年8月1日、革新系無所属議員とともに、住民説明会を甚目寺町、大治町で開催すること、工場周辺住民の健康相談・調査をすることを三菱マテリアル建材名古屋工場に申し入れました。
9月末、同社から石綿の特性と石綿の使用状況及び工場概況、石綿健康診断実施について説明会を開催すると連絡してきました。
同議員団は、地域の日本共産党支部代表を含めた「アスベスト対策会議」をつくり「住民説明会」での質問内容や住民の健康状況を聞き取り、アスベストに関する学習を進め健康不安の解消・被害救済の住民運動に取り組むことを決めました。
対策会議のメンバーを中心に実行委員会をつくり、自治体職員、医師会、開業医、公立尾陽病院、同病院労組、議員、付近自治会などに学習会への参加を広く呼びかけました。
兵庫県尼崎市の旧クボタ周辺で中皮腫の発生が異常に高い(8月28日付朝日新聞)との報道に、同議員団は、昨年の9月議会で自治体の対応を求める質問も行いました。
住民検診で胸膜肥厚も
工場周辺住民や町の要望を受け、三菱マテリアルは工場から半径500メートル以内の住民健康診断(大治町73人、甚目寺町72人、七宝町40人他計201人が受診)を実施しました。その結果、「胸膜肥厚」が見られる人がいました。
今後も「健康が心配」という人たちに定期検診を呼びかけ、アスベスト疾病が発生した場合には、住民も労災と同程度の補償がされるように、国と企業の責任をはっきりさせながら「アスベスト新法」の改正を求め、住民の健康を守っていくために、対策会議として運動をします。