ニュース

【06.03.26】設楽ダム 水需要予測 下方修正するも 規模変更せず

3月26日「愛知民報」

 国土交通省は、2020年度完成をめざしている設楽ダム(設楽町)について、豊川水系水資源開発基本計画の改定で水需要予測が下方修正されたのにともない同ダム建設計画の見直しをすすめています。同省は利水容量の減少分を他の容量の増加で補うなどしてダムの現行規模を維持しようとしています。

 設楽ダムの従来計画は総貯水量約1億トン、高さ約129メートル。大規模な自然破壊が予想され、水需要の停滞から建設の必要性が疑問視されています。

 県は国の基本計画改定の基礎となる県の利水計画見直しで、水需要予測を10年度毎秒約12.5トンから15年度約10.3トンに引き下げました。

 現在、県は今回予測した15年度需要量を上回る水利権(毎秒11.35トンを確保しており、設楽ダムは不要です。

 しかし、近年の少雨化傾向などから既設ダムの供給能力が62%に低下していると見て、設楽ダムで水道用水約0.2トン、農業用水約0.3トンの確保が必要としています。

 そのうえで、設楽ダムの利水、不特定、堆砂の各容量を調整。総貯水量を約9800万トンに減らすもののダムの規模は変更しない考えです。

 「数字合わせで不必要なダム建設を続ける」との批判が出ています。

豊川水系の水需要予測(単位m2 /秒)
現行水資源開発水量 変更前豊川水系フルプラン(1990年4月閣議決定)2000年度需要見通し 愛知2010計画(1998年3月策定)2010年度需要見通し 現行豊川水系フルプラン(2006年2月閣議決定)2015年需要見通し 設楽ダム開発水量
水道用水 4.183 4.962 4.586 3.446 0.179
工業用水 2.028 2.028 1.380 1.367
農業用水 5.139 6.778 6.488 5.478 0.339
合計 11.350 13.768 12.454 10.291 0.518
*需要見通し量はいずれも水資源開発(ダム)依存分。
設楽ダム建設計画変更案
現行計画(96年) 見直し案 変更概要
総貯水量 約1億m2 約9,800万m2
洪水調節容量 1,900万m2 1,900万m2
新規利水容量 2,000万m2 1,300万m2 今回の需要見直しによる減量
不特定容量 5,700万m2 6,000万m2 河川環境保全の流量確保のための増量
堆砂容量 400万m2 600万m2 流域の実態を踏まえた増量
利水 上水 約0.8m2/s 約0.2m2/s
農水 約0.3m2/s 約0.3m2/s