3月19日「愛知民報」
家族たちが体験を語り
3月12日に、「薬物依存症患者を抱える家族の会(愛知家族会)」の初めてのフォーラムが開かれ、会場いっぱいの170人が参加しました。
「愛知家族会」は全国14の家族会の1つで、2年前に立ち上げ、お互いに支えあうとともに、回復を進めるために、行政の理解と援助が必要と行政への働きかけを強めています。
2年ほど前、私は、「ダルク」という言葉を初めて耳にしました。近くにいる方が「家族会」の運動にたずさわるようになったからです。
ダルク(DARC)とは、Dはドラッグ(=薬物)、Aはアディクション(=病的依存)、Rはリハビリテーション(=回復)、Cはセンター(=施設)。
今年2月におこなった愛知県への申し入れの中では、「薬物依存・中毒者に対する治療の充実」「社会復帰支援」「関係機関の連携強化」「家族支援」の要望が出され、家族の方たちは、自らの体験を訴えられました。
医者からの処方薬でも…
薬物とは麻薬や覚せい剤と思いがちですが、そうではありません。薬物依存のきっかけは、シンナーなどだけではなく、医者から処方された薬剤であったことも…。「うちは、普通の家庭です」と言われて、夫と2人で参加し、涙ながらに語ったお母さんの言葉に本当に驚かされました。
「精神科で13種類の薬を数週間分渡され、一度に飲んで死んでしまった」「病院をたらいまわしにされ、『警察に捕まってもいい』と思って訴えたのに覚せい剤でなければダメだと言われた。結局、罪を犯さなければ、逮捕も保護もしてもらえない」「県立病院でも入院を断られた。いったいどこの病院にいけばよいのか」。
今考えると、私も子どもが通った高校に、保護者懇談会や進路説明会に行った時、「ダメ、ゼッタイ!」という麻薬・覚せい剤使用禁止キャンペーンの配布物を必ず渡されました。手にした時は、違和感があったけれど、逆に、それくらい、高校生にまで薬物が広がる可能性があるのではと思いました。
県・市にも申し入れて
申し入れの時、「患者が自立するためには、家族から離れて遠くのダルクへの入所がどうしても必要。住所地が変わると生活保護が打ち切られてしまい、たいへん困っている。打ち切らないでほしい」と要望が出されていました。
さっそく県・市とあらためて話し合い、生活保護受給の確認がされ、一緒に参加した元衆院議員のせこゆき子さん、前県議のきしの知子さんとともに、喜びあいました。
薬物依存はたんに取り締まるだけでなく、病気として治療をすすめる必要があります。精神福祉健康センター、医師、看護師、家族会が連携を強め、ネットワークづくりが始まったそうです。声を上げていくことで、急速に対応が広がっています。
「格差社会」とよばれる社会の中で、大きなストレスを感じることが多く、メンタル・ヘルスが重要視されています。県は、要望に応え、県立城山病院など関係施設を充実させ、人員の確保にも動いていくべきではないでしょうか。