11月27日「愛知民報」
政府は2004年12月に閣議決定した「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」(中期防)で、海外派兵を今後の自衛隊の中心任務にすえる安全保障政策の大転換を打ち出しました。愛知県内にある航空自衛隊小牧基地や陸上自衛隊第10師団などもその方向へ再編・強化されようとしています。県内の軍事機能の強化状況や反対運動を紹介します。
第9回こまき平和集会
「空中給油機の配備反対」「自衛隊はイラクから撤退を」の声が20日、航空自衛隊小牧基地の回りに響き渡りました。安保破棄諸要求貫徹愛知県実行委員会などでつくる、こまき平和集会実行委員会が小牧市の市之久田中央公園で開いた「第9回こまき平和集会」です。「平和憲法を守れ」「NO・WAR」などと書いたノボリやプラカードを持った400人以上が参加しました。
あいさつに立った実行委員長の羽根克明・愛知県労働組合総連合議長は在日米軍基地の再編・強化やイラク特措法延長を厳しく批判。「空中給油機の配備など基地強化に反対する大きな運動をつくりましょう」と訴えました。日本共産党の八田ひろ子前参院議員が連帯のあいさつをしました。
参加者は集会後に小牧基地までピースウォークをおこないました。5歳の子どもと参加した小牧市の女性は「県営になった名古屋空港は平和な民間専用になってほしい」と話していました。
航空自衛隊小牧基地 飛行訓練 実戦さながら
名古屋空港が今年2月に県営化されて以後、自衛隊機の訓練が大きく変化しています。
イラクの米軍に物資支援輸送をおこなっているC130輸送機部隊が実戦さながらの訓練をしばしばおこなうようになりました。C130が滑走路に縦列に並び、数秒間隔で発進し、急旋回するタッチアンドゴー(緊急離発着)訓練をしています。戦地での飛行が想定されています。
他の航空自衛隊基地所属のTIB練習機が小牧に飛来し編隊飛行訓練をしています。
新中期防により空中給油機とその部隊が06年度から小牧基地に配備されます。空中給油機は、飛行中の戦闘機に給油し攻撃能力を高めます。同機は輸送機能をもち、C130では中東地域へは約4トンの物資輸送に片道5日かかりますが、約20トンの物資を2日で輸送可能になります。
小牧基地には、沖縄の米軍海兵隊普天間基地所属のヘリコプターもしばしば飛来するなど、日米軍事一体化がすすんでいます。
陸上自衛隊第10師団 市街戦訓練を展開
県内の陸上自衛隊基地は第10師団司令部のある守山駐屯地、春日井駐屯地、春日井自動車教習場、豊川駐屯地、日吉原演習場などがあります。
これらの駐屯地は「大綱」にもとづき増強されています。豊川駐屯地には昨年、定員1100人の第49普通科連隊が創設されました。春日井駐屯地の後方支援連隊も500人から1000人に増強されました。
これらの駐屯地では00年以降、県内各地で市街地における軍事訓練、図上戦闘判読訓練をおこなっています。
01年には岡崎市、西尾市、幸田町などで陸上自衛隊航空学校の幹部生徒が蒲郡港方面から上陸した敵部隊を迎え撃つ想定で、敵の攻撃や陣地構築を考える「地図判読及び地形研究」訓練をおこないました。
名古屋市の守山駐屯地では3カ月に一度ほど約200人が30人から50人に分かれ、市街地で軍事訓練をおこなっています。迷彩服で小銃を持ち昼間だけでなく夜間もおこなっています。豊川駐屯地や春日井駐屯地でも同様の訓練がおこなわれています。
全国最大の軍需産業
愛知県は戦前から軍需産業のメッカといわれています。現在も三菱グループを筆頭に全国最大の軍需産業集積地で、海外派兵を支える兵站基地化がすすんでいます。
三菱重工名古屋宇宙システム製作所(豊山町)では誘導推進システムで研究への参加をすすめています。同製作所ではF15戦闘機やF2支援戦闘機など航空自衛隊の戦闘機の製造、修理をおこなっています。
三菱重工名古屋誘導推進システム製作所(小牧市)ではミサイル防衛構想の基幹をなすパック3といわれるパトリオットミサイルをはじめ自衛隊が使用する全てのミサイルを製造しています。
旭精機工業(尾張旭市)では機関銃弾を製造。豊和工業(新川町)は自衛隊が装備する主要な小銃や81ミリ迫撃砲、84ミリ無反動砲を製造しています。日本油脂(武豊町)では155ミリ榴弾用火薬を製造しています。トヨタ自動車(豊田市)も自衛隊が使用する高機動車やトラックを製造しています。