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【05.11.20】アスベスト、フェロシルト 広がる住民不安 調査と対策を急げ

11月20日「愛知民報」

 アスベストやフェロシフトによる環境汚染や健康被害に住民の不安が広がっています。実態調査や被害者救済、除去などの対策が急がれます。

吹付けアスベスト露出 民間建築の1割に

 愛知県は先日、県内の民間建築物における吹き付けアスベストの調査結果を発表しました。それによると回答のあった建築物のうち約1割に露出した吹付けアスベストが使用されていることがわかりました。

 調査は1956年から1987年までに建設された延べ面積千平方メートル以上の事務所、店舗、工場、共同住宅、ホテルなどの民間建設物。17756棟を対象にアンケート形式で実施。回答のあった10220棟のうち約1割に相当する1091棟に露出して吹付けアスベストが使用されていました。

 露出した吹き付けアスベストがあると回答した建築物のうち、飛散防止などの「対応をした」「期限を設定して対応する」は132件(12%)にとどまっています。

 県では未回答の建築物所有者に回答の提出を求めるとともに、アスベストの露出が見られた建築物で対策を考えていない建築物所有者には飛散防止対策をとるよう指導するとしています。

日本共産党 アスベスト調査や申し入れ

 県は9月に県有施設のアスベスト使用実態調査結果を発表しました。この中には県立高校が含まれています。

 日本共産党愛知県委員会は4日、県立起工業高校(一宮市、高桑和義校長、生徒数定時制含め771人)などのアスベスト使用実態の調査をおこないました。八田ひろ子前参院議員、きしの知子前県議、一宮市議団、日本民主青年同盟愛知県委員会五島未来常任委員らが参加。除去作業が終わるまでの暴露防止対策を調査するとともに、学区関係者から要望を聞きました。

 起工業高校では、階段や実習室の天井など5カ所で186平方メートルにアスベストを含む吹付け材が使用されています。

 同校では、実習室などは立ち入り禁止にし、階段上の天井はベニヤ板で覆うなど応急対策が取られていました。

 調査に同行した県教育委員会財務施設課の水谷慎次課長補佐は「検査や撤去工事のため1億6千万円の予算を組んだ。起工業高校も年度内には撤去工事をする」と説明しました。高桑校長は「除去工事は年内にやってほしい。春休みの工事だと新学期からの施設使用が難しい」と強調。

 調査に先立ち、県側から県立学校などのアスベスト実態調査の説明を受けました。

 説明によれば、佐屋養護学校では普通教室が不足していることから、アスベストの空中浮遊濃度の調査をおこない安全を確認して使用している教室もあるとのこと。また県教委の5人で学校を訪問し現場調査をおこなっており、人手や調査機材が不足している状況もわかりました。

 調査を終えた、きしのさんは「日本共産党として調査や撤去に必要な予算確保など県と交渉していきたい」と話しています

フェロシルト投棄 新たな場所次々

 愛知県内で10月下旬以降に新たに判明した土壌埋め戻し材フェロシルトの搬入場所は、豊田市、瀬戸市、日進市、名古屋市名東区、小牧市、常滑市の6カ所。今後増えると見られます。

 このうち、豊田市西中山町才ケ洞の農地では、同市の土壌検査で環境基準の58倍の六価クロムと5倍のふっ素が検出され、農地に有害物の汚染が広がる深刻な事態となっています。

 瀬戸市南が丘の造成地に埋設されたフェロシルトは約1500トン。現在は覆土されています。日進市折戸町の造成地の使用量は調査中です。

 名東区猪高町大字藤森は耕作中の畑で、推定使用量は約30~40トン。名古屋市の指示で、製造元の石原産業は8日、同地にパワーショベルなどの重機をもちこみ、フェロシルトを含んだ土を撤去しました。

 判明している搬入場所のうち、これまでに撤去されたのは豊田市深見町下田、名古屋市名東区の計2カ所。同社は瀬戸市広之田町の約2000トンを近く撤去すると発表しています。

 フェロシルトについては、三重、岐阜両県がすでに産業廃棄物に認定し石原産業を廃棄物処理法違反で刑事告発しています。愛知県も11日、産廃に認定し、同社にたいし撤去命令を出すため弁明書の提出を通知しました。

 フェロシルトの撤去を求めている日本共産党の水野すみ子瀬戸市議は「フェロシルト撤去が遅れた原因は産廃摘発になかなか踏み切らなかった県の姿勢にもあります。放射性物質や有害重金属を含んだフェロシルトが農地にも広がっています。投棄場所の徹底調査と完全撤去が急務です」と語っています。

 石原産業は1998年にフェロシルトの生産を始め、2001年から販売を開始しました。フェロシルトの販売使用経路と搬入場所の把握、造成地の総点検、全量撤去が求められます。