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愛知経済の内需拡大プラン大綱(基本的考え方)案

2012年6月12日

日本共産党愛知県委員会

 

1、大綱の基本的視点

愛知県経済は、トヨタ自動車を中心とした輸出型大企業を頂点に、企業のピラミッド構成がされ、製造業の産業構造に占める割合が他県と比べても著しく高く、その中でも、輸送機器製造の分野が多くを占めています。この間の経済活動は、輸出依存型という日本経済の特徴の先端をすすめているといってよいでしょう。一方で、繊維や窯業の生産物の全国シェアやしそ、ふき、キャベツ、ウズラ卵、花きの産出額やあさりの漁獲量が全国一位など、地場産業や農林漁業の生産も県経済で大きな役割を果たしています。

県民所得は、東京(全国1位 2008年)や大阪(全国5位 同年)などと同様、全国的には高い水準(全国2位 同年)にあります。しかし、同時にその内実を見るならば、企業所得の高さはあっても、雇用者報酬は低く抑えられており、勤労者の1世帯当たりの月の実収入は全国27位(2010年 大阪は43位)です。リーマンショック以来の経済危機において、派遣切りが全国でも異常に高い愛知県の実状は、そのゆがんだ労働者の働かせ方も全国で先進を切っているといわざるをえません。今後の県の経済発展を考える場合に、従来のような労働者、中小企業へのしわ寄せを強くし、大企業がそのコストの低さを武器に海外での利益をむさぼるという経済発展の方向には未来がありません。

しかし、現在、中経連(「中部地域の新産業構造ビジョン」2011年2月)や愛知県行政(「あいち産業労働ビジョン2011−2015〜世界と闘える力強い愛知をめざして」2011年6月)がすすめようとしている経済発展の方向は、従来型の延長にあります。自動車を頂点とした「富士山ろく型」の産業構造から、自動車の新興国への輸出を軸としたさらなる自動車工業の発展とともに、自動車工業にかわる県をリードする次世代産業(中経連のビジョンでは、次世代自動車産業、航空宇宙産業、低炭素・資源リサイクル産業、長寿ヘルス産業、観光産業の5つ)の育成という「八ガ岳型」の産業構造に転換をはかろうとしています。県は国際戦略総合特区「アジアNO・1航空宇宙産業クラスター形成特区」など構造特区を設定して、一層の規制緩和による生産と輸出の利便性をはかり、福祉・くらしの施策を切り捨てて、新増設する工場などに100億円もの補助を行うなど、内需ではなく外需を柱に大企業を中心とした産業の活性化をはかり、その産業のおこぼれによって、県経済の活性化をはかろうとしています。

今、県民とあいち経済に求められているのは、県内需要を喚起させる経済政策、とりわけ大きく減少した県民の所得を増やし家計を応援、中小企業、農林漁業の発展を軸とし、バランスのとれた経済への根本的転換が必要です。京都大学大学院経済学研究科の岡田知弘教授は、これまでの新自由主義経済路線の「構造改革」路線を批判し、「地域内再投資力」の強化を訴えていますが、その地域内再投資力とは、「地域において産業活動が持続的に行われ、雇用と所得が再生産されること。地域住民の生活を支える経済活動を担っているのが、企業や農林漁家に加え、地域金融機関、そして地方自治体。これらの経済主体が地域内で繰り返し投資を行うことで、地域の産業が維持されるだけでなく、そこで働く住民の生活が維持され、さらに農林漁家の生産活動を通じて国土に手を入れることによって、国土保全・防災効果も高まる」と指摘しています。この地域再投資力を高めることこそが、県の内需拡大をすすめ、愛知経済の活性化させる方向です。

そのためには、TPP参加などアメリカいいなり、また、あくまで原発推進というような財界中心の経済政策から、「県民が主人公」のくらし中心の経済政策への転換をはかることが根本的な前提となります。この転換によって、愛知経済にどのような希望と展望をきりひらくことができるか考えてみたいと思います。

 

2、内需拡大の土台―県民所得をひきあげるため、大企業の内部留保を還流させます。

内需拡大の土台は、県民の消費の拡大にあります。消費を拡大するためには、県民ひとりひとり所得の増大、将来不安に対する軽減措置が不可欠となっています。

党は、「提言」の二つの柱のひとつとして、国民の所得を増やす経済改革を提起しています。この経済改革をすすめるとともに、とくに、県内の問題では、(1)非正規雇用を正規雇用に転換するなど安定した雇用や、(2)人間らしい働き方への転換と、(3)十分な賃金の引き上げによって、ディーセントワーク(働きがいある人間らしい仕事)を実現する必要があります。労働運動総合研究所は、全国で大企業の内部留保を6・8%還流することで、賃金の引き上げ(正規労働者で月1万円、パートの時給100円の引き上げ)、サービス残業の根絶、年次有給休暇の完全取得、週休2日制の完全実施、法定休暇の完全取得を行い、新たに466万人の雇用創出、国内生産額の19・7兆円増額ができることを、12年春闘に向けて提言しています。この提言の実行を、トヨタ自動車や新日本製鉄など県内の大企業に求めていきます。

また、労働者派遣法の抜本改正、解雇規制のルールの確立、最低賃金の引き上げなど雇用のルールの確立を求めるとともに、ソニーのリストラなど大企業による新しい大規模なリストラが拡大する中で、雇用と地域経済を守る大企業の社会的責任を果たさせるルールの確立を求めてたたかいます。

同時に、県内労働者の圧倒的多数は中小企業で雇用(従業員数の72・7%)されています。中小企業に対しては、大企業と同様の提起ではなく、大企業からの正当な下請け単価の設定、不当なコスト削減の押しつけをやめさせます。大企業を中心に、銀行や資産家など幅広く「中小企業労働条件改善基金」(仮称)を拠出させて、中小企業に働く労働者の賃金や労働条件の改善、新たな雇用創出準備に活用していきます。

これらは、「県民が主人公」のくらし中心の経済政策に転換してこそ、実現できるものです。

 

3、内需拡大プラン大綱(基本的考え方)

第1に、県内「経済の根幹」である中小企業を活性化するために、県及び各自治体で「中小企業振興(活性化)条例」や振興(活性化)プランをつくるなど必要な政策的措置をとることができます。

  • 2010年「中小企業憲章」が閣議決定されました。「中小企業憲章」の法定化をすすめるとともに、全国各地ですすめられている「中小企業振興(活性化)条例」や振興(活性化)プランを県及び各自治体でつくります。その際、自治体職員で全事業所訪問など中小企業のていねいな実態調査を行い、新たな地域資源の掘り起こすとともに、中小企業者自身が参加した条例づくりをすすめます。
    同時に、理念や机上のプランに終わらせないためにも、具体的な行動計画をつくり、必要な人的、財政的措置をとります。
  • 県や市町村の中小企業対策予算(県の商工振興費の歳出に占める割合は全国12位。しかし、その96%が融資関係)を抜本的に増やし、必要な情報や相談、製品開発や販路開拓の支援、技能訓練など中小企業の経営者が利用しやすい「中小企業センター」を各地に設立、機能強化します。
  • 下請け取引を適正化し、「単価たたき」など不公正な取引をやめさせるよう検査と指導の体制を強化します。中小企業の機械設備のリース代金の支払い猶予を広げ、借り工場の家賃や動力エネルギー代など直接支援を行うなど自治体独自の支援策を強めます。
  • 大型店の身勝手を許さないルールをつくり、大須商店街など各地のすぐれた商店街活動経験に学び、商店街や小売店の魅力を引き出す協同事業をすすめ、地元で日常生活品が買い物できる仕組みをつくるなど商店街や小売店の活性化をすすめます。

第2に、地方自治体自ら産業創出、雇用創出の先頭にたつことができます。

  • 教育・保育・福祉・医療・防災など公的な分野で必要な人員を確保し、新たな雇用を創出します。
  • 青年の雇用確保と持続的な就労をすすめるために、住居や生活への支援とともに、職業訓練の充実や学校と就労の現場を結ぶ中間的な就労の場を設置していきます。
  • 官公需の中小企業発注の割合を高めるとともに、「公契約条例」を各自治体で制定し、労働条件の改善をはかっていきます。

第3に、地域経済循環、雇用創出をすすめる産業の活性化をすすめることができます。

一部の輸出依存型リーディング事業による波及効果による活性化を考えるのではなく、あくまで、地元中小企業、農林漁業、地場産業を軸に、県民が日常的に消費し、継続して消費が促されて新たな雇用も生みだされる「地産地消」型の経済による活性化をすすめます。

(1)予想される東海・東南海・南海地震や大型台風など災害から県民の命と安全を守る防災事業を大胆に進めます。

  • 東日本大震災は、大規模な被害を与え、経済の主体である人の命を奪い、中小企業を壊滅させました。県民の命と暮らしを守る防災事業は待ったなしであり、内需拡大の基礎となります。避難タワーや防波堤、防潮堤などの整備とともに、減災のために、家屋やビルなど建造物への耐震補強や、様々な避難グッズ、食料品の備蓄など考えられるすべての防災対策をすすめることは、大きな需要を生み出すことになります。

(2)自然エネルギーを活用した産業の育成、促進をします。

  • 「原発ゼロ」を実現し、化石燃料を中心としたエネルギー産業から、太陽光、太陽熱、風力、地熱力、小水力、木質ペレットなど自然エネルギーを中心にした産業に転換をはかります。そのためにも、大企業による送電の寡占をやめ、送電分離をすすめます。
    自然エネルギーの活用は、地元の資源を活用し消費する、地元の雇用を増やすという「地産地消」型の経済となります。
    自然エネルギーを活用した産業に、地元企業や市民が積極的に参加できるしくみ(例えば、市民ファンドなど)をつくるとともに、自然エネルギーを活用する資材の設置や売電価格に公的支援を行います。
  • 植物やたい肥などバイオエタノールやバイオプラスチックなど、農業と連携した工業製品を生み出し、消費市場にのせていくなど、農業と工業との連携、活性化をすすめます。

(3)住宅リフォーム制度を県内のすべての自治体で実施することをはじめ、改修・補修など生活改善をすすめる事業を促進します。

  • 県内ですすめられた住宅リフォーム事業は、大きな経済効果、雇用創出効果をあげています。地震や台風による被害、少子高齢化によって求められる住宅の改修・補修など、防災、改修・補修事業は、県民の強い要求であるとともに、潜在的な需要をもっています。こうした需要にこたえる事業の促進をすすめます。建築事業において、三河の森林資源など県内の資源(木材など)を活用すれば、林業の活性化も促す二重の効果があります。
  • 生活改善事業は地元中小企業発注を基本とし、大企業による事業の寡占化を規制し、請け負った中小企業が大企業から制裁的な対応がされないような仕組みをつくります。

(4)少子化解決促進と高齢化に対応する保育施設、特別養護老人ホームなど介護福祉施設、医療施設など医療・福祉事業を促進します。

  • 名古屋市の待機児童1909人(2011年10月1日現在)は全国一であり、県の特別養護老人ホーム待機者も1万人を超えている(県調査 2011年4月1日現在)など一刻も早い解決が求められていますが、同時にこの根本原因は、保育所建設や介護福祉建設の遅れ、少なさにあります。少子化の解決をすすめ、高齢化に対応するためにも、保育、福祉、医療施設の建設は急務であり、需要も大きいものがあります。
    同時に、これらの施設を支えるのはマンパワーであり、雇用の創出・確保が求められます。また遊具、福祉・医療器具の生産も不可欠であり、この事業の促進は、新た雇用創出と関連事業への波及効果を生みます。

(5)伝統工芸品の保護・育成をはかるとともに、繊維、窯業などの地場産業、基幹産業として農林水産業の再生を促進します。県内の自然遺産、文化遺産を活用した観光産業を促進します。

  • 「有松絞」「常滑焼」「尾張七宝」「三河仏壇」「豊橋筆」など県内各地の伝統工芸品を、輸入製品から保護するとともに、後継者育成など技術と産業の継承につとめます。
  • 愛知ブランドなど「ブランド」化による需要創出とともに、県内の日常消費品として、県民の消費を拡大することによって需要の創出をはかり活性化をすすめます。
  • 県独自で農民、林業従事者、漁業事業者への価格保障・所得補償を創設、充実するとともに、学校給食、「道の駅」などでの販売など市場での現地産農産物・水産物の活用など新た需要を創出し、再生をはかります。また、木材や水産物が生産に見合う販売価格となるように、林道や漁場の整備を行うなど環境整備をすすめます。
  • 県内の自然遺産、文化遺産の保護をすすめ、学校の教育プログラムや県民の文化プログラムなどで県民がこれらの遺産に触れる機会を増やし、県内の観光需要を創出して、関連事業の活性化をはかります。

(6)設楽ダム、第2東名・名神、リニア中央新幹線など大型で浪費型の公共事業を中止・抜本的見直し、生活密着型の公共事業を行い、地元中小企業に発注します。

  • 利水需要もなく、治水効果もない設楽ダム建設や、旅客需要のない中で、安全性を無視してつくられるリニア新幹線、同じく旅客需要のない中部国際空港第2滑走路はムダな大型開発の典型です。一部の大企業の利潤のみを追及する浪費型の公共事業は中止を含め抜本的に見直します。
  • 地域循環バス、巡回バス、LRT(ライトレールトランジット 軽量な旅客鉄道)など安全性を確保した公共交通網の整備、下水道整備や生活道路の維持整備など生活密着型の公共事業を積極的にすすめ、小規模事業登録制度など地元中小企業に発注し、地域経済の活性化をすすめます。

第4に、県内の大企業と共存し、ともに愛知の地域経済を発展させるルールをつくることができます。

  • 大企業に対し、社会的責任を発揮してもらい、地域経済への貢献を求め、地元雇用の促進、地元の文化事業への積極的な参加や、労働者の家族が子育てを含め安心して地域で暮らせる働き方を推進します。
  • 大企業と自治体、地元商店街、地元住民との協議の場を設け、地域経済や文化への関わり方を定期的に議論交流するとともに、大企業の工場の縮小・移転・廃止については、事前に協議の場に計画を提出し、工場に働く労働者や地域経済に否定的な影響を及ぼさないように手立てをとるようにします。

第5に、地域の再投資を促す、信金、信組など地域金融機関や協同組合金融のいっそうの活性化をすすめることができます。

  • 「地域金融活性化法」の制定をめざし、中小企業をはじめ地域で活動する経済団体に必要な資金を安定的に確保できるように地域金融機関の責任と役割を明確にします。市民参加の下で協同組合金融の設立、運営が適切にすすめられるように、国に法整備を求めるなど条件整備をすすめます。
  • 営業している地域で集めた預金をどの程度地域に貸し出しているかなど地域と中小企業等への貸出目標を設定させ、実行状況を公表させます。
  • 中小企業団体、市民団体、有識者などから構成する「地域金融活性化委員会」(仮称)を県に設置し、大銀行による貸し渋り、貸しはがしを禁止するとともに、地域金融機関の活動の報告を求め、評価、結果の公表、勧告を行います。

以上

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