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【02.11.03】介護保険「要介護認定者」の障害者控除 対象者362人全員に市が個別通知 すでに220人が申請尾張東部民主商工会 日進市での取り組み

2002年11月3日 「愛知民報」

  介護保険で「要介護」と認定された人が、所得税の障害者控除を申請する動きがひろがっています。とりわけ日進市では、尾張東部民主商工会などの運動で大勢の人たちが助かっています。同会事務局長の山田敬治さん(46)が「第5回住民が主人公の地方自治をすすめる交流集会」(10月20日、自治労連県本部など主催)でその取り組みを報告しました。要旨を紹介します。

事務局長山田敬治さんの話

 この問題は「しんぶん赤旗」に掲載されました。新潟県の日本共産党議員に「介護の必要なお年寄りにも障害者控除を認めてほしい」という相談があったという記事でした。これについて研究したところ、すでに1970年に国税庁が所得税法に該当するとした条項があることがわかりました。当時の厚生省も同年6月10日、市町村長などが認定書を交付すれば控除の対象になるという内容の「老齢者の所得税法上の取扱について」という社会局長通知を各都道府県知事、指定都市市長あてに送っていました。

 さらに昨年11月、上京して国税庁に確認に行ったところ、同庁は「要介護認定者は障害者控除の対象に『ほぼ一致する』『限りなく近いもの』」と答えています。

 それが今、日の目をみたわけです。本来なら2000年4月に介護保険が始まったときに気づけばよかったと思います。私は、このことを全国商工新聞、「しんぶん赤旗」、日本共産党衆院東海ブロックや関係機関のホームページで改めて確認し、県社会保障推進協議会の自治体キャラバンでも発言してきました。

更正の請求書ができていた

 尾張東部民主商工会としては2月25日、日進市の国民健康保険課と国保税の引き上げ問題について懇談を予定していたとき、「要介護認定者」の障害者控除のことを知り、追加項目として要望しました。3月11日には4自治体(日進市、長久手町、東郷町、三好町)に文書ですぐ認定書の発行をと申し入れました。

 5月には、家族を介護している日進市の民主商工会会員から相談があり、いっしょに市役所に行って手続きを求めました。そのときは申請書もなく、準備中ということでした。早くしてくださいと要望して帰りました。

 その後、何回も市の担当者に電話を入れました。日進市と三好町では、6月議会で共産党の議員がとりあげました。

 日進市は9月20日、福祉事務所長名で00、01年分の「要介護認定者」の障害者控除申請について個別に通知を出しました。27日から10月9日まで相談日を設け、印鑑と口座がわかるものを持ってきてほしいというものでした。

 相談日に出かけて説明を聞き、各自の責任で氏名と口座番号を記入すると税金が返ってくるという更正の請求書がすでにできていたのがすごいところです。長寿支援課と税務課が協力してパソコンにデータを入力して作成しました。昭和税務署にも確認してすすめています。

 日進市は人口約7万人。800人近い「要介護認定者」がいます。納税額ゼロの人など対象外の人をのぞいて362人が税金が還付される対象者です。10月23日現在で220人の還付申告が終わっています。民主商工会に相談にきた会員さんは8万円ほど戻ってきます。

行政を動かすのはこれから

 自治体キャラバンの中で日進市の生涯支援部長は「介護保険が始まった時に知らせていなかった反省と知らせる責任があるという思いが始まりでした。今回の障害者控除の問題は特別のこととして考え、市役所の中でできる実務上のことはやりきる立場ですすめました」と言われました。

 日進市、長久手町、東郷町では取扱要領を統一して作りました。東郷町は8月と9月に広報で知らせましたが、申請したのは2人だけ。三好町はいまだに知らせず、来年1月になるといっています。自治体の間でも温度差がすごい。各自治体でも対象者に個別に知らせることが必要だと思います。十分知らせずに「申請せよ」と言われても住民にはよくわからない人が多いのです。

 更正の請求は、5年間さかのぼって申告できます。行政を動かすのはこれからです。組織内外に目配りして、「要介護認定者」は障害者控除ができることを多くの人に知らせていきましょう。

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