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日本共産党愛知県委員会のよびかけ
県民に耐えがたい犠牲を押しつける「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止を求める一大県民運動をおこしましょう

2002年1月8日 日本共産党愛知県常任委員会

 愛知県は、2001年12月17日に「改訂愛知県第三次行革大綱(県庁改革プログラム)―見直します 意識と組織と仕事ぶり―」を策定しました。これは、1999年度から2008年度までの10年間の「行革」計画である「愛知県行政改革推進計画(愛知県第三次行革大綱)」の策定(1998年12月)以来、3年間の「実績」のうえにたって、万博・空港の推進を中心とした「新世紀への飛躍―愛知2010計画」を全面的にすすめるために、いっそうの県民いじめと県民サービスの切捨てを盛り込んで改訂したものです。
万博・空港を推進し、県財政の破たんを促進して、県民に新たな犠牲を押しつける「改訂愛知県第三次行革大綱」は、地方自治体の本旨である「住民の福祉の増進を図ることを基本」(地方自治法第一条の二の1)とすることを踏みにじるものです。県民のくらし・福祉・教育を守って、県民の消費を豊かにしてこそ、県財政のたてなおしは可能です。地方自治体の本来の役割を守り、県財政のたてなおしをすすめるために、「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止を求める一大県民運動をご一緒におこしましょう。

一、「改訂愛知県第三次行革大綱」のねらいと内容

(1)万博・空港を推進するための財源確保

 もともと愛知県の行政は大型開発推進型で、財政が豊かであった反面、県民のくらし・福祉・教育に冷たい県政でした。「第三次行革」が始まった、98年、99年時でも、他府県と比べてみると、県民のくらしの面でいえば、人口比で、保健婦・士数、消防吏員数、救急車数、消防ポンプ自動車数は全国44位でした。福祉の面でも、人口比で、児童福祉施設数は四十位、勤労青少年・婦人福祉施設数は44位、老人ホーム数は45位でした。教育の面でも、児童・生徒一人あたりの教員数は、幼稚園で47位、小学校で45位、中学校で46位、高等学校で43位でした。
愛知県は、98年の「財政非常事態宣言」を契機に、「財政の健全化」や「真に豊かで活力ある21世紀の愛知」をかかげて、「愛知県第三次行革大綱」を定め、この3年間、強力に「行革」をおしすすめてきました。この3年間で2800億円の節約をしたといいますが、借金(県債残高)は新たに5815億円増やし、その総額は、3兆8000億円(一標準世帯あたり約215万円 2001年度末見込み)にもなり、98年度、99年度と2年連続の赤字決算という戦後初めての深刻な財政危機状態におちいっています。これは、県税収入が落ち込み、財政危機が迫っているもとでも予算規模を拡大させ続け、公共事業を積み増す国の経済対策の言いなりになって、万博・空港など大型公共事業にあけくれたことによるもので、大型開発優先の「行革」が財政の健全化に役立たなかったことを示しています。
同時に、これまでの県の「行革」では、県民生活に直接かかわる補助金のカットや、私学助成のカット、敬老祝金制度の改悪、あるいは県職員の大幅削減と全国最大規模の3年連続の給与カットなど、数々の県民犠牲を押しつけ、いっそう県民のくらし・福祉・教育の制度が後退させられるとともに、失業や倒産は過去最高となり、県民生活は一段と深刻化しました。将来への不安が増大し、活力どころか生活不安、将来不安が増大しました。
ところが、いま愛知県は、万博・空港の本格的な推進を前にして、万博・空港推進を中心とした「愛知2010計画」の全面的な実行をはかるために、これまでの県民犠牲の押しつけに加えて、県が行ってきた福祉や教育、県民生活を独自に支援する制度を投げ捨て、万博・空港などの大型開発に予算も体制も投入するために「改訂愛知県第三次行革大綱」を策定したのです。まさに、住民のくらし・福祉・教育を守るべき地方自治体としての役割を完全に放棄したものにほかなりません。

(2)県民犠牲とサービス切捨てを極限まで推進

 「改訂愛知県第三次行革大綱」は、2002年度から2004年度までの三年間に集中的に取り組む計画118項目と、2008年度までの7年間の中長期的な取り組み計画37項目、合計155項目について「行革」の数値目標や方向性を示しています。
その特徴の第一は、県民犠牲を極限にまでおしすすめ、「県が関与すべき行政守備範囲の見直し」「緊急に実施を必要とする施策以外のものについては廃止・休止するという考え方を基本とする」と、県の独自の制度の切捨てを行おうとしています。
これは、68歳・69歳の高齢者などを対象にした老人医療の廃止、乳児・障害者医療への所得制限の導入など、福祉医療などの県独自の扶助費や、私学助成、小規模事業経営支援など県単独の補助金を可能な限り削減、廃止しようということにほかなりません。
県職員も、1500人の削減から3000人の削減に計画が引き上げられ、一つの部局が廃止されるのに等しい人員削減を計画しています。30人学級の実現が県民の切実な願いであるにもかかわらず、1300人の教職員の削減も計画しています。
 県の施設も大幅な見直しを行ない、総合保健センター・名東ふれあい広場・渥美老人ホームの廃止、特別養護老人ホームの民営化、勤労福祉会館の統廃合を含む見直しなど、26施設以上の廃止、民営化などの見直しを計画しています。足助事務所、新城事務所の統合、稲沢保健所、安城保健所、田原保健所の支所化など地方機関の再編・簡素化も計画しています。これらの見直しの多くは県民サービスの低下を徹底的にすすめるものです。
特徴の第二は、このような県民犠牲をすすめる一方で、財政破たんを促進する万博・空港など大型開発を“聖域”としてメスを入れず、事業の促進を計画し、県下の市町村に市町村合併を国いいなりに押しつける計画となっていることです。
「改訂愛知県第三次行革大綱」の「再整理した行財政改革の四つの必要性」の中で、「21世紀の飛躍の基盤となるプロジェクトの推進」と、万博・空港という二大プロジェクトの推進が、「行革」の理由であることを明確にし、「行財政改革の4つの視点」の中で「自主的・主体的な市町村合併の推進、支援」と上からの市町村合併の押しつけの促進を明らかにしています。上から押しつけられた市町村合併は、全国の経験でも明らかなとおり、自治体のくらし・福祉の制度の後退、公共料金の引き上げ、サービスの低下を生み出すことになります。
また、「財政健全化にむけた取り組み」の中では、「中部国際空港や2005年日本国際博覧会の開催に向けた所要経費については、適正な事業計画の立案を図る」と、事実上、県民の多くの税金を二大プロジェクトに注ぎこむことを計画しています。

二、県民に環境破壊、浪費をおしつける愛知万博、中部国際空港

 「愛知2010計画」の中核事業として、「改訂第三次行革大綱」の目的として推進される、愛知万博の開催、中部国際空港の建設は県民が望んだものではありません。中部財界が、いっそうの利益をあげるために「産業技術首都」「環伊勢湾総合開発」と銘打って、中部圏での大型開発をすすめるための中軸事業、起爆剤として、計画され推進されてきたのが、この二大プロジェクトです。
愛知万博は、「環境万博」を国際的に約束しながら、主会場の愛知青少年公園の環境影響評価をまともにおこなわず、主会場周辺に生息するオオタカの営巣や公園の豊かな自然を破壊する計画となっており、「環境万博」とはいえません。しかも、半年間のイベントに、東部丘陵線、愛環鉄道の拡幅、ゴンドラの設置など、将来の需要見込みのない輸送手段の建設や会場建設費、関連事業費にばく大な費用を必要とし、万博の運営費の大幅な赤字も予測されるなど、浪費の計画です。
 中部国際空港も、名古屋空港という立派な国際空港がありながら、これを廃港にして、「伊勢湾の子宮」と呼ばれる豊かな漁場に建設が強行されていますが、新空港での旅客や貨物の需要見込みはなく、在日の外国航空会社の協議会が、“名古屋空港で十分、新空港は必要ない”と明言しています。また、新空港建設に関連して建設される前島など地域開発部分も全く採算の見通しがありません。7年前に、鳴り物入りで開港した関西国際空港が、今や巨大な赤字で苦しみ、「りんくうタウン」など周辺の地域開発事業が破たんしていることをみても、中部国際空港は全く無駄なものです。しかも、名古屋空港の跡地は、一部は県が600億円で買い取り、滑走路の管理や管制は防衛庁が行うことになり、自衛隊の軍事基地化がすすみます。県民には、必要のない危険でムダな計画です。
 まさに、県民にとって、「百害あって一利のない」二大プロジェクトは中止しかありません。

三、「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止こそ、県民のくらし・福祉、教育を守り、県民要求実現と県財政たてなおしの保障

 県財政のたてなおしは、県民のふところをあたためる施策による県税収入の向上や法人二税(法人県民税、法人事業税)の超過課税率の引き上げなど、過去最高の利益をあげているトヨタ自動車などの大企業の社会的な責任を果たさせることによって、歳入が改善されることと、ムダと浪費の大型開発をやめ、県債発行の抑制など県の歳出を削減することによってこそ、実現が可能です。
「改訂愛知県第三次行革大綱」は、県民のくらし・福祉・教育を切り捨てて、県民のふところをいっそう冷え込ませ、その一方で大型開発を促進し、無駄な歳出を増大させるもので、県財政をいっそう悪化させることは、この3年間の「行革」の実績からも明らかです。万博・空港は、これから本格的に必要とされる建設費だけでも、県民に新たに約1000億円の負担を押しつけ、関連事業を含めれば、数1000億円の負担を将来にわたって押しつけることになります。県財政のたてなおしにとって、「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止は不可欠です。
また、「改訂愛知県第三次行革大綱」は、万博・空港の推進を理由に、青年労働者の雇用確保の支援、中小業者への施策の充実、30人学級実現など県民の切実な要求の実現を阻むものであり、住民の福祉を増進するという、地方自治体の本来の役割を投げ捨てるものです。「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止こそ、県民の切実な要求を実現する確かな保障です。

四、「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止を求める県民運動を

 愛知県民のみなさん。県民に耐えがたい犠牲を押しつける「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止を求める県民運動を力をあわせて推進しましょう。
(1)2月県議会が一つの正念場となります。様々な県民要求の実現と「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回、万博・空港の中止を結びつけて、大いに世論をまきおこしましょう。
「改訂愛知県第三次行革大綱」の内容を身近な方々に語り広げて下さい。医療改悪に反対する署名や万博・空港の中止を求める署名などもぜひ活用して下さい。
(2)あなたの街の自治会、子ども会、老人会など様々な団体に、「改訂愛知県第三次行革大綱」の撤回と万博・空港の中止を県に働きかけることを呼びかけて下さい。
(3)日本共産党や各種の団体がおこなう街頭などでの宣伝にお気軽にご参加下さい。

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